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生母による虐待、いじめ、未亡人、交通事故、リストラ、いろいろあって、今は主婦作家を目指す、アラフィーです。


by chiyoko1960
今は無き朝日新人文学賞に応募して予選だけ通過した作品です。
読みたいと思われるものであるかどうか、
ここの読者の皆様に判断していただこうと思います。
(自分としては登場人物が大好きな奴らばかりでわりと好きです)
3名以上の方に、つまらん! と判定された時点でやめますので、それまで、どうぞお付き合い下さい。


             坂    道      


 市が主催する教育講演会のお知らせを、娘の連絡帳袋から取り出した覚えはある。
「ないのよねえ」
 信子は、この半年間でたまりにたまった小学校からのお知らせファイルを何度も確かめながら、誰に聞かせるともなく溜息交じりで呟いた。 
「また、何かなくしたのか?」
 自宅で会社を経営しているために朝早くi家を出る必要がなく、今朝もリビングでくつろぎながら新聞を読んでいる夫の誠が、うんざりしたような声を出して顔をあげる。
 どうせ説明しても何も知りはしないくせに、妻の失態に黙っていられない性分の誠は、全身にお節介心をみなぎらせていた。早く新聞を読み終えて仕事部屋に引きこもればいいのに、と思いながら、信子は目を合わせずに答える。
「うん、教育講演会のお知らせ」
「全くだらしがないからな。おまえは」
「はいはい、すみませんね」
 確かに。
 誠に任されている会社経理の帳簿は訂正印だらけ、仕事でかかってきた電話の相手の名前も時に聞き忘れる信子である。いわれなくてもわかってますよと開き直りながら、彼女は何度も何度も黄ばんだ紙の束を確認した。
「誰の講演会なんだ?」
「だから、それがわからないから探してるのよ。PTAの会長さんから参加者が少ないから出てくれっていわれてさ、ほら私今年クラスの役員してるでしょ? でも気に入らない先生のお話なんか時間の無駄じゃない?」
 あなたが営業に出てる間、家をやたらと空けるわけにはいかないし、といいかけて信子は口をつぐんだ。誠の反応はわかりきっている。
(お前がいてもいなくても変わらないよ)
 彼女も負けてはいない。
(あら、営業中はいつも携帯の電源切ってるくせに)
 お互いがお互いにとって、どれほど役に立っている夫であり妻であるかを証明するという幼稚な目的のために、2人は時折こうして朝っぱらから張り合うのである。
「誰の話でも有難く聞かなくちゃダメだろ? 大体お前は好き嫌いが激しいんだよ」
「まあね」
 誠が矢継ぎ早に皮肉や嫌味を信子に向けてくるのは、夫である自分が、困っている妻のために何も力にならないと悟ったときに現れる苛立ちが原因なのだと、信子は承知している。
「お前のことだから、こんなの今更聴くまでもないわ、って捨てちゃったんじゃないのか?」
「うーん、そうかもしれない」
 信子はかつて学習塾に勤めていたので、研修の一貫として教育講演会など何度も聴いてきた。その慢心ゆえに、お知らせをゴミ箱に直行させてしまった可能性は大いにある。
「確か去年、本を出したとかいってたかなあ」
「本?」
 誠は目を光らせて、身を乗り出した。
 彼は、著者を発掘して出版社に売り込む、出版プロデユーサーなのである。
「タイトルがわかればネットで探せるぞ」
 心なしか声に喜びがこもっているのは、自分が信子の役に立てて感謝されることへの期待感が生じたせいだろう。
「それが、そういう肝心なところがわからないのよ」
「しょうがねえなあ」
 舌打ちせんばかりにいうと、誠は新聞に目を戻す。
 やれやれ。
 彼の、あふれんばかりに豊かな親切心から発生するお節介は、ひとまず収束したようだ。
 信子は、普通のサラリーマン家庭の主婦が実に羨ましい。朝旦那を送り出してしまえば、あとは何を探そうが何に困ろうが、一人で悩んで解決して納得のいく結論を出せばいいのだが、同じマンションの一室で仕事をしている夫には、彼女の午前中の行動が何もかも筒抜けなのである。
 それで黙って放っておいてくれればいいものを、田舎育ちで心温かい誠は、決して困惑している妻を静かに見守っておくなどという冷静な態度にはなれない。何とか力になろうと感情的になり、逆に信子の癇に障る結果を招いているのだが、自らが何かしら役に立てたと得心するまで、皮肉や嫌味も混じった干渉を彼は諦めないのである。
 煩わしいが、誠にしてみれば精一杯の努力をしようという心根の表れなので、放っておいてくれと冷たく言い放つわけにもいかない。いったところで、大人しく引き下がる彼ではないのだし。
 結局お知らせは見つからなかった。
 誰か委員の仲間に確かめてみようと思いつつも、昼間は連絡がつかなかったり、夜は気が付くと9時過ぎになっていたりで、電話をするチャンスを失い、誰の講演会だか不明のまま、信子は講演会に参加した。

★明日の内容

信子は講演会に出かけます。ところがその講師は・・・。
(どうぞ相手からは見えませんように)
脱獄囚のような思いで会場に入った彼女の脳裏に、
講師である坂田昇との過去がよみがえります。


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# by chiyoko1960 | 2009-10-10 19:31 | マイセルフ
前々回のブログで、

「ありがとう」 は 「有難う」 だ!

などと勇ましいことを書いておきながら、


出版社からメールで送られてきた原稿を確認すると、
全部、「ありがとう」 になっていたんだな、これが。

犯人は私です。
いい加減というか、
だらしがないというか、
嘘つきというか、
物忘れがはげしいというか(;´▽`A``、


そうでなくても、
読み直してみて新たに訂正したい部分があるわあるわ、
もう付箋が鬱陶しいほど、大漁旗の如くはためいてます。


でも、漢字の間違いとか、熟語の誤用とかには、
細心の注意を払いたい。

最近、作品の中によく見られる、

憮然


という言葉、辞書で調べると、

がっかりした様子

なのだそうですが、

絶対にそのようには思えない場面も少なからずあって、
私はわからないので使わないようにしています。


かつて、家庭学習で有名な会社の副読本に

情けは人のためならず

をテーマにしたものがありましたが、
それが、

やたらと人に親切にするのはその人のためにならない


という内容の読み物となっていて、
関係者一同、鬼の首を獲ったように騒いでいたものです (-з-)。


作家が先生といわれるのは、
作品のメッセージ性もさることながら、
漢字や熟語やその用法においても、
国語の先生以上の影響力をもつからなのでしょう。

漫画家
を目指している娘にも、こう言っております。


じゃあ、漢字はきちんとかけるようにしようね、
あなただって漫画で漢字を覚えてきたんだから。
漫画家は先生って呼ばれるでしょ?
だから先生と同じくらい勉強しなくちゃね。


私も、です。

ブログをお読みになって、
そういうのおかしいんじゃない?っていうのがありましたら、
ガンガンご指摘下さい。

片っ端から、参考にさせていただきます。
(たまにはスルーするかもしれませんが ( ̄ー ̄))。




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# by chiyoko1960 | 2009-10-04 11:35 | マイセルフ

インフルエンザ

なんと今年は
私、子ども会の会長なんですね。無謀だ・・・ ( ̄_ ̄ i)

毎年晩秋にひとつ、子供向けのレクリエーションをやることになっていて、
市内のいろいろな行事がインフルエンザを心配して中止になる中、

学校の校庭を行司のために借りようと、
私は単身学校長と話し合い。


結果はゴーサイン。

「大きな声ではいえないんだけども」

と、私より少し年上の女校長先生は、
学校内の慎重論に違和感を示していましたr。


「インフルエンザを気にしてたら、
何もできないでしょ?」


そうですよね。
締め切った教室で授業さえできませんよね。


今のところ、娘の小学校で学級閉鎖はなし(埼玉県のベッドタウンです)。
娘のクラスに至っては、欠席者すらいないという明るい状況。 (‐^▽^‐)

音楽会も、
体育館の上の窓も下の窓も全開にして
換気をよくしてやるつもりですから」


拍手~~~~~!!(寒いけど)
頑張ってください、校長先生。


「インフルエンザが心配なら
ご家庭の判断で参加してくださればいいから」


本当にその通りです。
というわけで我々が計画したレクリエーションは、
晩秋の風が吹きぬける校庭でのスポーツレクリエーション
これなら元気のないお子さんは参加しない! (^O^)/

その他行事が目白押し。
私の父の三回忌も重なって、


大丈夫か、私。 (-"-;A)


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# by chiyoko1960 | 2009-10-03 12:02 | 教育
お世話になっている出版社からは、
文字の扱い方についても、いろいろと細かい助言を頂きました。

なるべく平仮名表記をするように、と。

向う → 向かう    暮す → 暮らす  など。

でも、私は、「有難う」だけは漢字表記をお許し願いたい。
なぜなら「有難う」とは、元来「有り難い」つまり、
滅多にないこと、という意味だからです。

平仮名にすると、それが「感謝」という意味に置き換わってしまう、
そんな気がします。

滅多にないことだから感動する。
何でも与えられて恵まれた人間は、心の底から「有難う」なんて思わない。

「有難う」というのは、


え~~~?! 

ほんとうに~~~?!

こんな事していただいていいんですかあ~~~?!



ぐらいの気持ちなんだと思います。

いつもパパからおかずを横取りされる娘が、
そのパパにお菓子を分けてもらったとか、

娘がどうしても見たいアニメ番組があって、
パパに頼み込んだら何とか承知してもらえたとか、

何か、すごいパパですな・・・ ;^_^A

そんなときt娘はキラキラと目を輝かせ、拝み倒さんばかりに、
おとうさ~ん、有難う~~!」といいます。(*^▽^*)

知的障害者である私の妹
身の回りのことはある程度できますが、言葉がわかりません。
いまだに年老いた母と暮らしているので、
万が一に備えて時々我が家で預かります。

それを結婚前に承知してくれた旦那も、

夏の地区のお祭りにおいて、
私が役員であるため持ち場を離れられず、
自分よりもはるかに年上の妹の手を引いて、
友達と一緒にゲームやショーに連れまわしてくれた娘も、

妹が退屈にならないようにと、
焼きそばの売り子をさせて見守ってくれたママ友達も、

皆、有難い人たちばかりです。


親切を当たり前と思ってはいけない。
有難うという漢字には、そういう教えが詰まっていると思う。
だから譲れません。

さて、出版社の方はなんとおっしゃるでしょうか?


っていうか、メールで送った原稿、見てくださったのかしら?



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# by chiyoko1960 | 2009-10-01 14:18 | マイセルフ

洗濯機のこと

洗濯機が壊れちゃった。


排水ができなくて脱水ランプを点滅させたまま、
ブンブン唸っている。(T_T)


何? どうしたの?
しっかりしてちょうだい!


しかたなく洗濯物をたらいに移し、
私は風呂場で、桃太郎のおばあさん


ああ、こういう日に限って、
娘がジーンズを2枚も出しているではないか。(>_<)

給食の時に魚の汁をこぼしたとか、
長いのは暑いとか言って、
ポンポンと洗濯かごに放り込みおって。\(*`∧´)/


いえ、洗うのは苦労ではない。私の学生時代は手洗いであった。
(あ、洗濯機とかコインランドリーとかはありましたから、念のため)


脱水ができないのだ。
なかなか乾きそうにない。
しかも  だし。


すすいでもすすいでもすっきりとしないのは、
合成洗剤のせい。
よし、明日からは固形石鹸でこすり洗いだっ!


と気合を入れた横から、
「営業前に、洗濯機買いに行くぞ!」

いつも慎重または優柔不断な、
社長兼旦那が即決。(ノ゚ο゚)ノ

嬉しいけど、
たまには桃太郎のおばあさんも悪くはない。




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# by chiyoko1960 | 2009-09-30 15:43